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★裏方に訊く 2011年4月 【全2回 其の1】
アーティストに対するヘルスケアという視点に立っての活動をされているわけですが、そこから藝能にかかわる問題点や日本の文化の弱点まで見えてきます。 演者の方々、今回は、いやいや今回も必見です! ●特定非営利活動法人 芸術家のくすり箱 日本では芸術医学がまだ整っていない。 まずはこのNPOの立ち上げのきっかけをお聞かせください。 福井「私は以前、芸団協(日本芸能実演家団体協議会)に勤めていまして、そこで俳優さんやダンサー、音楽家さん達の活動状況や生活実態などを調べて発表する仕事を長く担当してました。 今まではそういったアーティストに対してサポートをするお医者さんなどはいなかったんでしょうか? 福井「もちろん個人的にお医者さんやトレーナーの方にサポートをしてもらっている、というのはありましたけど、やはり色んな症例や事例を集めて研究したり共有したりにはあまりなっていなかったんですね」 活動を始めるにあたってそういったお医者さんやトレーナーの方々とのつながりはどのようにして広げていったんでしょう? 小曽根「もともとそういった活動をしてらっしゃる方々とのつながりはあったものですから、その方々を中心に広げていったんです。今までは芸術医学というジャンルが知られてなかったものですから、この活動を知って皆さんから情報を知りたい教えてほしい、っていう要望がすごくあるんです」 やはりそういう情報をファイリングするという作業は大事になってきますね。 小曽根「今はまだまだファイリングの最中というところですが、先生方を招いて情報共有のセミナーなどをやって、そこで先生方同士で情報を集めたり交換したりしています」 現在会員として、サポートする立場の先生方はどのくらいいらっしゃるんですか? 小曽根「お医者さん、整体師、トレーナーや鍼灸師の方々で80人くらいです。 では実際に会員のアーティストがケガをした場合、どのような手順でサポートがなされるのでしょう。 小曽根「まず状況をヒアリングします。芸術活動の状況、ケガの状況、治療の目標や次の公演が決まっているならそれがいつなのか、など詳しく聞いたあと、団体の専門チームに、こういう症例でどこそこに住んでいる方ですが、どの先生に看てもらうのがいいでしょうか、ということを相談して担当の先生を紹介する、ということになります」 ケガをして自分で探した先生に看てもらっているが、どうにも上手くいかないから、専門の先生を紹介してほしい、という途中からのサポートもされるのですか? 小曽根「そういう事例もあります。例えば手術をした先生からその後の治療をする先生が替わる、いわゆる主治医が替わるというのはとても難しいことですが、必要であれば中立な立場でご紹介をすることはあります。
ヘルスケアセミナーの模様
痛みを取るための治療だけで 福井「常時募集しているわけではないのですが、年にアーティストひとりくらいの割合で『ヘルスケア助成』という支援活動もしています。 どういった方がその対象に当てはまるのでしょう? 小曽根「まず国内を拠点に芸術活動をしている方。指導者は入りません。治療やリハビリの過程を報告して、セミナーなどで発表をするというのも条件です。あくまでも国内の芸術活動の現場にその経験を還元して頂くというのが趣旨でもありますので」 活動の宣伝などはどうなさってますか? 小曽根「まず芸術活動にもヘルスケアは必要だよね、っていうのをわかってもらわないといけないので、定期的にセミナーを開いて、そこで必要性を知ってもらうというところから始めてこちらの活動を知ってもらっています。 福井「潤沢に資金があるわけではないので(笑)、パンフレットを稽古場や劇場の楽屋とか、整体医院に置いて頂いたり、関係者の口コミや演劇やダンスなどの専門誌にはリリースを送っていくという地道な活動で広げています」 小曽根「ダンサーのケガのケア、ということをネットで探してHPを見てくださる方も多いですね」 成果のほどは? 小曽根「会員数はおかげさまで昨年くらいからぐっと上がってきています。 医療関係のセミナーなどには、どういった方々がいらっしゃるのですか? 小曽根「もともとスポーツ医学に関わっていたお医者さんや整体師の方もいらっしゃいますし、これから専門的に学んでいきたいという方もいます。 そういうサポートする側を学ぶ方が増えているというのは看てもらう側も多いということでしょうね。 小曽根「多いんでしょうね。でもいい患者さんではないって言われますね(笑)。 そのためにも活動を理解できる先生と出会うのは大事ですね。 小曽根「やっぱり、休んで下さい、っていうのが治療のうちに入りますから、それが出来ないっていうのは難しい問題ですね。 福井「例えば声が出ない、という症状があったとしても、のどの問題かもしれないし神経系の部分から来る問題かもしれないし、体の使い方の問題かもしれない。そういった総合的な面から判断してもらわないといけない場合もあります」 小曽根「やっぱり痛みを取るための治療だけで終わってしまうのは良くないんですね。癖や弱点から来るケガが芸術活動には多いので、原因を知って対策をとれるようにしてこそ芸術家のヘルスケアと言えるんですね」
トレーニングの一例
アーティストのヘルスケアに対する認識を 創設してから理想としていた活動は出来ていますか? 小曽根「想定の範囲ではありましたが、アーティストのヘルスケアに対する認識をもっと上げていかなければ、というのはあります。やはりどこかでトレーニングなどは面倒なものとして捉えがちですし。 それは個別にサポートのプログラムを組み立てて下さい、というオーダーですか? 小曽根「そうです。その方がニーズもはっきりしていますし、効率的なプログラムも出来ますから、大歓迎です」 劇場や稽古場などはそういった活動にはまだ積極的にはなってくれないのでしょうか? 小曽根「そうですね、やっぱり費用の問題がありますし、簡単にはいかないですね」 儲かっていない世界でもありますからね。 小曽根「もっと潤っていくためには作品の質などを上げて、芸術に対する支援体制を広げていかなくてはならないですし、そのための方法論の中にヘルスケアというのもを入れて頂きたいなと思います」 サポートを受ける側の会員の方のジャンルというのは。 小曽根「ダンサーが一番多くて、次に俳優さん、音楽家となります」 HPを見ると琴の演奏者の写真が載っていたるするのですが。 福井「演奏者は同じ姿勢でいることが多くて、体の一部に負荷が集中したりするんですね。例えばオーケストラで楽器を弾きながら、二人で一つの譜面台を見ながら、指揮者も見ながら、という無理な体勢をずっとしていなければならないとか」 小曽根「三味線などは正座しながら片方の膝にだけ楽器が乗って、その重さや演奏の負荷がかかるとか」 演奏者の方がセミナーやワークショップでトレーニングをすると、音は瞬間的に変わるものなのでしょうか? 小曽根「変わることもありますけど、それを自分自身で良い方向に感じられるかは別です。やはりいつもの習慣と違った形で演奏することになるので、その違和感が先にたってしまう場合があって、自分自身より周りにいる人の方が違いに気づくことが多いですね。 演奏家の場合もヘルスケアは大事なんですね。 小曽根「声に関するセミナーもあります。ノドを始め肉体のケアはもちろんですが、声はコミュニケーションの手段としての役割も大きいので、そちらの面からのアプローチにも皆さんの関心はあります」 福井「あとオーケストラなどでは楽器の位置が変えられないので、いつも右側からだけ大音量の管楽器の音が入ってきて難聴になるとか、歌舞伎の清元の方でも同じように片方の耳だけ難聴になられた方もいました」 それはケアするのは難しい問題ですね。
ヘルスケアとはダンサーやパフォーマーだけに必要、と思いがちですが、肉体を使って表現活動をすることにおいてはすべからくヘルスケアは必要なんです。その自覚を持つことがケアの第一歩ですね。
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