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★裏方に訊く 2009年11月 【全2回 其の1】
私はここ20年ほど平均して40本以上は映画を映画館で見ています。外人の顔の区別がつかない、字幕を読むのが苦手、などという理由で見るのはもっぱら邦画ばかり。
『新文芸坐 支配人』矢田庸一郎(やだよういちろう)
昔は一番安く見れるのが名画座っていう ますは簡単に文芸坐と新文芸坐の歴史をお願いします。 矢田「1955年に文芸坐地下劇場というのがオープンして、翌年に文芸坐がオープンしたのが歴史の始まりだったんですけど、それ以前に池袋の人生坐(1948~1968年)、板橋の弁天坐(1952~1968年)というのがありまして、その創業者で作家の三角寛が文芸坐も作りました。1997年に閉館して2000年にアミューズメント系総合企業のマルハンが事業として再建して新文芸坐が再スタートしました」 名画座の役割みたいなものを教えていただけませんか。 矢田「まずロードショーで公開されて、その後に二番館、三番館、と劇場が小さくなって料金も安くなって公開され続けます。最終的に三本立てとかで上映して、一本分のロードショーより安い料金で、っていうのが名画座だったりしたんですが、凄い数の映画館があった時代です。 現在の名画座もまだそういう役割は続いているんでしょうか? 矢田「まず経済的な理由でロードショーを観れずに安くなるのを待つ、っていう人は今はあまりいないのではないでしょうか。学校っていう部分ではその役目は今も果たしたいと思ってますし、果たしているとも思ってます。でも若い人があまり映画を見なくなってるという現実もあります。 そういう状況の中で新文芸坐さんはどこに名画座の意義を持って続けておられるのでしょう。 矢田「文芸坐という暖簾(のれん)があるのが大きいんですけれど、私自身この名画座のやり方しか知らないというか……(笑)」 となると暖簾のない新規参入の名画座というのは成り立たないものでしょうか。 矢田「東映のグループの劇場で、通常はロードショー上映を主としてやっているんですが、そこが時代劇の名作を20本ほどを特集上映する、いわゆる名画座の上映形態みたいなもので全国のグループ劇場を巡回していたりするんですね。それはちょっと驚きました。それに似た形でシネコンやミニシアターでも名画座的な上映プログラムを組んでいたりするところもあります」 それは全国の劇場でそういった名画座的なプログラムを組んで見せよう、という理由でもあるんでしょうか。 矢田「様々なニーズに応えようという努力ではないでしょうか」
全国各地から錦之介ファンがいらっしゃって 先ほど若い人が映画を見に来ないと言われてましたが、今の名画座の客層は年輩の方が多いんでしょうか。 矢田「上映作品次第ですが、今月は萬屋錦之介(よろずやきんのすけ)の特集で『生誕77年 錦之助映画祭りフィナーレ』というのをやるんですが、やはり錦之介ファンとなると年齢層は高いです」 やっぱり熱心なファンはまだ根強くいらっしゃるんですね。 矢田「北九州や福島の方からもチケットの問い合わせももう来てます。
そういう特集には若い層は来ない? 矢田「全体の3割程度ですかね」 私は正直ほとんど若い人はいないのかと思ってました。 矢田「そういう上映の時に当館の友の会というのに入ってくれる人も結構いるんですよ」 ちなみにその友の会のは何人くらい入会されていて、年齢分布というのはどうなってますでしょうか。 矢田「約4000人です。シニア料金と一緒になるので以前はシニアの方はいらっしゃらなかったんですが、上映の予定表を送っているのでそれが欲しいと言って入られるシニアの方も増えてます」
上映企画や上映作品の選定などはどうやって成されていくのですか 矢田「社内で企画を募って練って、っていう形です。大まかな企画が決まるとその企画に添った作品を選びます。 今月の末に行われる特集で「気になる日本映画達2009上半期」というのがありますが、ここで上映される作品21作品の選定には新文芸坐らしいこだわりみたいな選定基準はあるんでしょうか? 当たってるのに選ばれていない作品もあるように思いますが。 矢田「う〜ん、特別そういうのは設けていないんですが……そういえば世の中で大ヒットになっているのに当館では上映しないなんていう作品もありますね」 名画座で見る映画ではない、という判断をお客さんがしてるんでしょうか。 矢田「昔からロードショーで入る作品と名画座で入る作品というのが、微妙に違ってたりすることがあります」
今映画はすぐソフト化されますし、テレビも多チャンネルで映画をどんどん流してます。その中で名画座で映画を見る意義みたいなものは。 矢田「それは映画館で、スクリーンで観たい、ということに尽きるんじゃないでしょうか」 ですよね。私も映画館以外では見ないので、逆に映画館で映画を見たくない人の話が聞いてみたいです(笑)。
★新文芸坐HP
次回は矢田支配人ご自身の映画体験や、現在の映画事情についてなどをお送りいたします。お楽しみに。 撮影・スズキマサミ
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