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★裏方に訊く 2009年7月 【全3回 其の1】
先日田舎に住む旧友と話しをしていて、最近舞台にかかわってると言ったら、一昨年放送された「下北サンデーズ」というテレビドラマを引き合いに出され、みんなあんな感じなの? と訊かれた。う〜ん、まったくあながち嘘が描かれていたわけでもない。
● 劇団「月歌舎」
前身の劇団「東京レネゲイド」の解散に伴い、劇団員であった、入月美樹・入月謙一・そして入月裕美子の姉弟3人で、2000年「月歌舎」旗揚げ。以降、不定期ながらほぼ年一回のペースで公演を行い、この夏第10回公演を開催。
● 入月謙一
1975年、山梨県生まれ 「月歌舎」のほとんどの作品の脚本と演出を手がける。
今回は貧乏臭くない会場でやりたいって この公演「魔王」は昨年末シアターバー「コレド」で上演され、この8月に再演されることになった公演。まずはこの公演を昨年上演したきっかけから。 入月 知り合いの結婚式の余興でやった芝居、まあ寸劇ですけど、それがことのほかウケたんですよ。それをやるにあたって考えたのが、お客さんは酒も入ってるし食事もしながらだし、それをいかに惹き付けるかだけを考えて作ったんですね。 意外なきっかけで新しいスタイルの入り口を見つけたようだが、そういう芝居をやるにあたって探したのがシアターバー「コレド」。 入月 小劇場での芝居っていうと、バラエティで貧乏劇団員が紹介されたり、「下北サンデーズ」みたいなドラマで描かれてるような貧乏で苦労して、みたいなあまりにもステイタスが低い印象ってあるじゃないですか。実際そうだったりしますけど(笑)。なので今回は貧乏臭くない会場でやりたいってのがあったんですよね。 確かに都会のナイトスポットのライブハウスっていうような雰囲気。 入月 芝居を観るお客さんでも、小劇場じゃなくて宝塚だったり、シアタークリエ、シアターコクーンなんかの商業演劇を中心に観てるお客さんってけっこういるんですね。特にOLさんとかに多くて。そういった人達もお客さんに取り込みたいじゃないですか。そういう人達が足を運びやすそうな会場だったし、デートにも使えそうですし。そんな用途で足を運んで貰ってもいいですしね。 上演されたのは「魔王」という芝居だったが、この芝居には副題として「ミュージカル!?」というのが付いている。定員50人のシアターバーで歌って踊る芝居なのだ。 入月 個人的に最近ミュージカルとかオペラとか好きで観てるんですよ。それにダンスも声楽も習ってたりするのでその発表の場も欲しかったんですね。狂言の舞台にも立っているので、それも活かしたいし。もちろん今までの芝居の笑いもあったりするエンタメ的な部分も活かして。で、そういう内なる衝動を止められずに全部の要素を入れちゃったんです(笑)。 狂言は昨年野村萬斎さんの舞台のオーディションに合格してから参加し、この春、人間国宝の野村万作さんの狂言の舞台で全国を一緒に回って来たばかり。 入月 確かに(笑)。会場とか場のシュチエーションを考えればあり得ないですけどね。 自分なりのアプローチ、それは具体的に言うと? 入月 笑いに関して言えば、ネタ的な部分ではなくて、日常会話での呼吸感とかリズムの中で生まれる笑いっていうのを意識してます。笑いを作るんではなくて笑いが生まれるっていうような。まぁ俗っぽい切り口ですけど、この小さな空間ではその方が伝わりやすいですし。 こういう演劇っていうのもアリでしょ? ダンスに狂言を加えるというのは他にも類があるが、そこにミュージカルと笑いもとなると確かに類を見ない。 入月 飲みながら食べながら1時間20分、笑って軽く楽しめるような芝居なんですけど、やっぱりストーリーで飽きさせないっていうのは演劇の絶対基本にあるわけで、そこは今回の「魔王」に関しては意外と巧く作れたかなって思うんですよ。感動とか大爆笑はないにしろ(笑)。 ちょっとした謎解きが隠されていたり、ミュージカル+狂言の踊りもなかなかだったり、飽きずに楽しめる内容であることは確か。 入月 実はキャスティングを現実問題抜きにして考えてみたんですが、(ここでベテラン俳優達の名前が挙がるが、あえて伏せます)それでやったらシアターコクーンでも普通にやれるんじゃないかって、勝手に思ってるんですけどね(苦笑)。 これは作った人間のうぬぼれだと思われるかもしれないが、客観的に見てそのキャスティングらなら確かにめちゃめちゃ面白くなりそうだし、絶対観たい(笑)。 入月 その人達が俺にやらせろって言うまでロングランで続けたいんですよね。 これは笑って聞き流して下さい(笑)。 入月 ただ、だからこそ小劇場界でも名前が全く売れてないこのメンツでどれだけこの芝居の世界を広げられるか、深められるかっていうのも勝負なわけですよ。作家の自分から役者の自分に対してハッパをかけるっていうか。だから理想のキャスティングを妄想したりするんですけどね(笑)。 確かに芝居はキャスティングが命、と思うことがある。私も理想のキャスティングを妄想しながらつまらない演劇や映画を観ることは、正直結構ある(苦笑)。 入月 この公演では、ごちゃ混ぜの内容にしても、会場にしても、こういう演劇っていうのもアリでしょ? っていう訴えかけをしたいんですよね。それはお客さんに対しても、演劇界っていうものに対しても。 じゃあ、こういうシアターバーでの上演はこれからも機会を作ってやっていくのでしょうか? 入月 初めは月歌舎の番外編公演、っていう形で始めた形式だったんですけど、ちょっとしばらくこの形式で挑戦していきたいな〜って思って。 自分達にしか出来ない舞台、自分達がやらなければいけない舞台、それは舞台人誰しもが考える事かもしれないが、小さい劇団が小さい公演でやろうとしていることは、とても大きな一歩かもしれない。う〜ん、ちょっと大げさ?(笑)。
月歌舎 第10回公演「魔王」
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